「自然体の自分」は自然体で手に入れることができるのか

 皆さんの運転免許はマニュアルですか?AT限定? 別にどちらでも構いません(笑)。

 

 ところで、マニュアル車って、左足でクラッチ。右足でブレーキとアクセル。片手でシフトレバー。もう片方の手でハンドルを握ります。走り出す際は、ハンドルを握りながら、クラッチを踏み、シフトを入れて、アクセルを踏みつつ、クラッチを離していく。すでに両手両足がふさがっていますが、急な坂道で走り出す際にはこれにサイドブレーキの操作も加わります。

 

 誰もが最初はワケがわかりません。手も足もバラバラに動かすなんて芸当を経験したことがないからです。それでも、運転が好きな人や、マニュアル車の運転をせざるを得ない人は、下手なことにめげず、何度も何度も繰り返し運転します。するといつの間にかストレスも感じることなく、思い通りに操れるようになっていきます。一年もすれば、スマホ片手に、もう片方の手でコンビニのおにぎりをほおばりつつ、坂道発進だってお茶の子さいさいです。(違反ですけど)

 

 人は誰でも、最初はぎこちなくて周りにかっこ悪い姿を見られちゃうような事でも、繰り返し続けていくうちに、クセのように無意識に、まるで呼吸をするようにできるようになります。運転に興味のない人や、ペーパードライバーは、その姿を見て、「うまい」とか「すごい」と言ってくれるのです。当の本人は呼吸をするように無意識にやっているだけなのに。実は、プロフェッショナルと言われる仕事のほとんども、このクセ付けが占めています。もしかしたら、「天才」と言われる人ですら、本人的には意識的に繰り返してきた結果なのかもしれません。(意識的に繰り返したものが何かという話はいずれまた。)

 

 自分の頭の中を考えたとき、意識できるものは「意識」なので、自分では「無意識」の存在に気づきにくいと思います。でも、この「無意識」の多くを味方につけたからこそ、人から「すごい」とか「さすが!」って言われる存在になれるのです。不思議なもので、最初のうちは嫌いなことや苦手なことですら、クセになるほど繰り返せば、やりがいすら感じられるようになるものです。出来るようにならない人は「そういうの苦手だから」とか、「やらなきゃいけないのはわかっているんだけど…」とか、「モチベーションが…」とか、「このまま続けていていいんだろうか?」とか、とか、とか、とか。とにかく、「無意識」を味方につける前に「意識」に言い訳をさせてしまうのです。

 

 フォトグラファー、スタイリスト、シェフ、何かを目指す人にぜひ覚えておいて頂きたいことがあります。人は、何か頑張れない理由があるから、頑張ることができないのではありません。頑張らないから、頑張らなくてもいい理由を探すのです。自然体の自分が意識に言い訳をさせてしまう限り、自然体の自分を好きになることは難しいのかもしれません。

 

『「天職」というものは10年間探し求めても見つからない』ものなのだそうです。でも、『10年間続けた仕事は「天職」となる。』のだそうです。