なる人。消えていく人。

 僕は、スタジオのスタッフ全員に、将来カメラマンとして生計を立てられるようになって欲しいと強く願っています。「お節介なオッサン」と言われても、めげるつもりは全然ありません。でも、経営に携わる者としては、ダメな考え方だと思います。「何、カッコつけてるんだ?」とか、「甘い」とか、「それってリクルート用のセリフでしょ。」などと言われても仕方がないことだと思います。それでも僕は、スタジオの経営と、カメラマンの輩出、その両立を追求する先にこそ何かがあると信じています。そこに理由なんかありません。あったとしても、それに興味はありません。

 

 ただし、これには限界があります。人を変えることは誰にもできないからです。どんなに素晴らしい環境だろうと、周りが完璧なお膳立てをしようと、当の本人の意識が変わらない限り、カメラマンは成れる人にしかなれません。

 

 長年、スタジオで定点観測のように多くの人を見てきました。下の表は、お節介なオッサンが見つけた、成れる人とやがて消えていく人の「意識」や「考え方」、「気の持ちよう」の違いです。皆さんの参考になれば幸いです。

 

  遅かれ早かれ消えていく人 カメラマンになる人
スタジオでの仕事をどう考えているか。  辛くて、忙しくて、大変だけど、自分は一生懸命やっている。  尊敬できる写真家の直アシになるために必要な自分の商品価値を身につけるためのもの。または、カメラマンデビューするために必要なものを身につけるためのもの。
スタッフフォトへの取り組み方 仕方なくやる課題みたいなもの。とりあえず、なんかそれらしいものを提出する。 どうせだから、楽しみつつもとことんクオリティにこだわってみる。
現在の境遇・環境について 仕事は大変だし、自分の時間はなかなか作れないけど、そんな中でもよく耐えて頑張っているオレ(わたし)。 別にどうでもいい。
気持ちのエネルギーの向かう方向 現在のありのままの自分を肯定すること。そして、将来の写真家になった自分。 自分の中の理想を現実にするために、今なにをすべきか。
現時点での自分の写真のクオリティ 何となくそれなりに撮れるとは思う。ただし、この延長線上で、自分が憧れる写真家のような写真が、自分にも撮れるようになるかは正直わからない。 自分の写真や仕事に対する意識の低さにショックを受けた。この先、やっていけるのか自身がグラついた。
半年後の自分の写真のクオリティ 何となくそれなりに撮れるとは思う。ただし、この延長線上で、自分が憧れる写真家のような写真が、自分にも撮れるようになるかは正直わからない。 自分の写真の下手さに打ちのめされた。
以上のことを読み、「オレ、このままじゃマズい?」と気付いて まあ、そうかもしれないけれど、どうすればいいかわからないし。他にやりようがない。まぁ、そのうちいいカメラマンの師匠を見つけてアシスタントに就けば何とかなるでしょ。などと他力本願的に思いつつも、明日には忘れていつもと同じ日常を送る。 やばいから、行動を変える。