今まで何人ものフォトグラファーを目指す人たちを身近に見てきて気付いたことがあります。やがてそれを実現していく人は、自分が納得できることを模索し、行動することでそれを確認するというサイクルを人よりハイペースで行っているのです。
人から「理屈の通っている」正論で諭され、何か違う!って感じるんだけど言い返す言葉が見つからないってことありますか? 親や、先生や、先輩や、上司や、自分に、「○○だから、あなた(自分)はこうするべき」と言われ、「まあ、確かにそうなんだけど、なんか違う・・・」ってやつです。
僕も若いころ、周りから散々言われていたような気がします。「そうしないと後で絶対に後悔するぞ。」って、半ば脅されぎみに言われたこともありました。
でも、若かったから、そんな忠告知ったこっちゃありませんでした。で、その結果、後悔はまったくしていませんが、ずいぶんと回り道をしてしまったのは確かだと思います。もっとも、振り返って考えてみても、他にどうすることもできなかったのではありますが。
その反面、今の僕はスタジオの若い人たちにあーだ、こーだと忠告しまくっています。もちろん、スタッフは、僕の若い頃と同じで、まともに聞いているようにはみえません。
忠告したスタッフのその後は、案の定、僕が心配した通りになります。そのたびに、僕は心の中で「ほら、やっぱり。だから言わんこっちゃない。」と思います。
でも、スタッフにしてみれば、昔の僕と同じ。本人たちからすれば、他に選択肢はないので、周りからとやかく言われようと関係ないのです。
ある著名な心理学者の言葉に「過去と他人は変えられない。しかし、いまここから始まる未来と自分は変えられる。」というものがあります。まさしく、このことです。
結局のところ、僕がガミガミ言っているのは「上手い生き方」に過ぎません。でも、若い頃の僕を含め、若いスタッフの人たちが求めているのは「自分が納得できる生き方」なのです。
冒頭の話に戻ります。自分の理想を実現していく人は、人よりハイペースで「自分が納得できること」を模索し行動しています。
誰もが「失敗」を恐れます。それが普通です。でも、実現する人にとっての「失敗」とは、結果ではなく納得できることを模索するための材料に過ぎないのです。
以前スタジオスタッフだったMくんは、何か上手くいかなかったことがある度に、目を輝かせていました。失敗が発覚したことで自分に何が足りなかったのかがわかります。それさえわかれば、あとは乗り越えるべく努力することで、自分がそれ以前よりも成長できるからです。
目ざとい程に成長に対して貪欲な彼は今、某プロダクションのトップフォトグラファーとして大活躍中です。
「失敗」してしまったことを成長できるチャンスと喜ぶ。その原因を学び、乗り越えるべく努力することを自分の中で当たり前のことにする。このシステムを取り入れ、クセになるまで繰り返すこと。それが実現のための大きな一歩になることは間違いないと思います。