僕がマネージャーになったわけ。続ける理由。

 「田辺さんは、なぜマネージャーになったんですか?」このブログをやっているせいか、最近よく人に聞かれるようになりました。

 

 

 僕がへっぽこカメラマンだった23年前、知り合いから「外苑スタジオってスタジオがマネージャーを募集しているけど、どう?」とお誘いを頂きました。

 

 へっぽこな僕は、スタジオのマネージャーになれば自分の撮影でスタジオを安く使えるだろうという身勝手な計算で、その誘いを受けることにしました。どうせ、マネージャーなんて寝てればいいのだろうからと、のんきに考えていたのです。

 

 で、実際にマネージャーになって、本当に事務所で寝ていました。すると、当時のスタジオスタッフの人たちが僕を無視するようになってしまったのです。当たり前です。

 

 そこで初めて、「こりゃ、まずいな~」と気づき、「真剣にやらなきゃな~」と考え直すようになりました。もっとも、そもそもマネージャーって何をやればいいのか、僕はそれ自体がわかっていなかったので、本屋さんに行って「これであなたもマネージャー」みたいな本を買って読み漁るようになりました。今にしてみれば、それが本当の意味での、僕のマネージャーのスタートだったのだと思います。

 

 

 

 ここまで書いてみて、我ながらダサいな~と思います。僕に「なぜマネージャーに?」と聞いてくださる方に、正直にこの話をすると、いつも決まってそれ以上会話が続かなくなってしまう理由がわかる気がします。

 

 

 そんな僕でしたが、その後はマネージャーの仕事にのめり込んでいきました。そして、のめり込めばのめり込む程、スタッフと真剣に向き合う必要性を痛感しました。当然です。スタッフは若気の至りこそあれ、彼ら(彼女ら)なりに真剣に頑張っているからです。

 

 面白いもので、人と真剣に向き合うためには、自分自身ともちゃんと向き合う必要があります。そうでなければ、相手に伝わる言葉が話せないからです。

 

こうして、マネージャーの仕事に没頭していく程に、僕は自分自身の考え方や、価値観、アイデンティティーを強く自覚していくようになっていきました。日々、人とぶつかることで、柔軟になるべきことと、絶対にブレたり譲ってはいけないことが、自分の中で明確になっていきました。

 

マネージャーの仕事を始めて3年目、それまで徐々に減っていたカメラマンとしての仕事は完全になくなります。もっとも、すでにこの仕事にやりがいを見出していた自分にとっては惜しくもなんともないことでした。

 

それから20年。自分の中でこれまでず~っと思ってきたことがあります。もちろん、これからも絶対に譲れないことです。

 

それは、経営側の損得勘定とスタッフの将来的な幸せを限りなく高いところで、合致させること。逆に言うと、経営的都合を優先するために、こっそりとスタッフの人生をもてあそばないこと。

 

そのためにもスタッフには、自分の将来のために様々な仕事を高いレベルで追及してもらいます。

 

 

 

 人と接し、人に気遣うサービスは、将来コミュニケーション能力として役に立つはずです。多くのカメラマンさんに信頼されるアシスタントスキルは、将来の自分の選択肢を増やします。

 

 スタジオは、スタッフがカメラマンとして将来生計を立てられるようになることを可能な限り応援します。だからこそ、スタッフのみんなには頑張ってもらう必要があるのです。

 

 「青臭いこと言ってる」とか「そんなこと言って、上手く求人しようと企んでいる」と言われることは承知の上です。

 

 「どうだ、まいったか。」

 

 そんなひねくれた大人に、僕がいつか必ず言い返してやりたい言葉です。これこそが、僕がマネージャーを続ける理由です。

 

 だから僕のいるスタジオからは、もっと多くのカメラマンが輩出されなければいけません。そして、縦横無尽に大活躍してもらいたいのです。

 

 

 頑張れスタッフ!頑張れオレ。