僕はこれまで、スタジオのマネージャーとして、スタッフの求人面接とうい形で多くの方とお会いしてきました。選考にあたって僕が何よりも気にすることは、その方が面接時の想いを貫徹しそれを実現できると信じられるか、ということに尽きます。
その結果、僕のいるスタジオ出身のフォトグラファーが数多く活躍している事実は、すごく僕を勇気づけてくれます。反面、スタジオに撮影に来られたフォトグラファーの方から「実は〇年前に、外苑スタジオの面接を受けて落とされた」と聞くと、自分の眼力の無さにガッカリします。
ところで、その面接に際し、以前から「もったいないなー」と感じることがあります。ご本人の真剣な眼差しを見る程に、面接以前の採用には至らない原因が残念でならないのです。
その、もったいないこととは、
真夏の湘南海岸に行くようないでたちで面接に現れても、体よく速やかに面接時間が終わるだけです。
あなたが、将来はフリーのフォトグラファーを目指しているとしても、何の束縛もされることのない自由気ままなアーティストを目指しているとしても、スタジオは営利目的企業組織です。
しかも、お客様あってのサービス業です。あなたには、お客様を不快に思わせることのない常識やモラルがあることを身をもって証明して頂けるとありがたいです。
「やる気だけは誰にも負けません。」この言葉は、面接に来られるすべての方が言います。みんなが言う言葉に価値はありません。
あなたが面接に挑むということは、あなたが持ち込んだ材料で採用選考を受けるということです。その材料とは、履歴書であり、作品であり、あなた自身であったりします。
面接する側は、その提供された材料を通して、あなたのやる気や人柄などを見ます。簡単に申しますと、面接をする側の評価には、「〇」や「✖」や「△」以外に、与えられた材料からではその人のことがよくわからない「?」があります。
ほとんどの場合、時間的制約の中で「?」は「✖」とせざるを得ないのが現状です。もっと、色々な角度から、色々なものを見せて頂ければ、「?」にはならないと思うのです。
作者にどれだけ熱い思いがあっても、見る側に伝わらなければ、作品の価値はいずれ時間に埋もれていくであろう個人の日記でしかありません。
あなたの想いが何よりも大切だということはわかっています。でも、企業にもそれなりの想いがあります。
それはあなたのそれと同じく、夢や理想を追う想いもあれば、上手いことやりたいと目論む思惑まで様々です。
採用されるために大切なことは、片思いの相手のハートを射止める恋愛と同じです。「あなたの想い」だけで相手に迫っても、ただのストーカーだと思われちゃいます。
大切なことは、「あなたの想い」を実現するために、「企業の想い」にあなたがどこまで寄り添うことができるのかということです。
学生の方の「卒制に集中していたため就活時期が遅くなってしまいました。」って言葉。企業側採用担当者には「自分は就職よりも優先すべきものがある人です。」って意味に聞こえます。
面接に来られる方から聞く限り、生徒さんに対する学校側の就職指導への熱意は、学校によって雲泥の差があります。これは専門・短大・四大に関係はありません。
多くの学校の入学案内HPには、就職率〇〇%と誇らしげに掲げられています。それならなぜ、漠然とした不安からモラトリアム(態度保留)になりがちな生徒さんの意識に、大人たちからもっと積極的な働きかけをしないのか? 僕にはまったく理解できません。
以上のことは、僕のいるスタジオの面接採用試験対策に限るつもりはありません。たぶん、感性系技術職の面接試験全般に言えることだと思います。
以前、数えてみたら、これまで僕が面接でお会いした方はすでに5000人を超えていました。もっと突っ込んだお話もありますが、スタジオのオフィシャルなブログとしては微妙なネタになりかねません。
いずれは、こういったことも含めて、もっと皆さんのお役に立てる術があるのではないかと模索中です。何かお知恵がございましたら、教えてください。