「入社までにやっておくべきこと、やっておいたほうがよいことを教えてください。」 来春、スタジオに入社を予定している方から質問を受けました。
僕の答えは簡単です。
『三つの能力を高めておいて欲しいです。大胆に。』
その三つの能力とは、
① 好き嫌いなく、どんなものでも食える能力。ただし、腐ったものは嗅ぎ分けられること。
② どこでも構わず寝られる能力。外でも。布団が無くても。横になれなくても。
③ どんな人とでも友だちになれる能力。老若男女。あらゆる人種。これまで避けてきた人達とも。
平たく言えば、人の生命力を高めておいて欲しいのです。でも、誤解されやすいかもしれませんが、僕はべつにスタジオ勤務がサバイバルだからと言いたいわけではありません。
学生の方の多くは、これまで生きてくる中で「賢く上手なやり方」を選択する能力ばかりが求められてきました。進路選択も、課題提出も、単位を取るのも、バイトや部活とのやり繰りも、友達付き合いも、就活も。もしかしたら恋愛も。
仮に、賢く上手に出来そうもなかったら、避けて通ることもできました。進路も、課題も、単位も、部活もバイトも、友達も、就職も。もちろん、恋愛も。
でも、来春からは、これまでのようなやり方は通用し難くなります。自分の中の仕事というものの概念が、変わらざるを得ない人もいるかもしれません。
学生の頃までの仕事といえば、時間を切り売りするアルバイトさんのことだけでした。でも、これからの仕事は高度になればなる程、専門的になればなる程、作業内容や成果が問われるようになるのが常識となります。
増してや、スタジオの仕事はただでさえ大変です。その大変な仕事を通して自分を高めていかなければならないのです。
そこで大切なことは、この「仕事は大変」をあなた自身がどう捉えるかということです。
「仕事は大変」だけど、自分が日々成長しているのは確かだし、この先に自分の理想とするものがあることは間違いない、と捉えるか。
「仕事は大変」過ぎるし、一般企業にいった友人は自分よりも楽そうだし、自分はそこまでして写真を仕事にしなくてもいんじゃね?と捉えるか。
そんな状況の中で問われるのは、「賢く上手なやり方」を選択する能力ではありません。「目的へ向かって完成し全体化する適応力」いわゆる生命力、生きる力なのです。
そのために、何でも食べられて、どこでも寝られて、誰とでも仲良くなれる力を養っておいて欲しいのです。まずは生き抜くこと、自分の居場所を作ること、価値を生み出すこと、そして変われること。それらに必要な基本的能力です。
もちろん、
◎ 事故、ケガ、病気、等のないようにくれぐれもご注意ください。
◎ 自分自身、楽しみながら、面白がりながら、ワクワクしながらやれる範囲にとどめておくつもりでお願いします。
来春の入社後、『実は、学校の友人に、「そこまでさせる会社って、ヤバくない?」って本気で心配された』って笑い話を聞かせてもらえることを楽しみにしています。