昔、僕が親に勘当されてバイトしながら一人暮らしをしていた頃、まだ世の中には「フリーター」という言葉がありませんでした。
だから当時は、だれかに「何やっているんですか?」と聞かれれば「ぷうたろう(無職)です。」と答え、「え?どうやって食べているんですか?」と聞かれて初めて「バイトです。」と答えなければなりませんでした。
考えてみれば、あの頃の「アルバイト」という言葉の社会的認知は、仕事ではなく単なる小遣い稼ぎに過ぎなかったのだと思います。
それから数年後、「フリーター」という言葉が世の中に出てきて、メディアが盛んに「今どきの若者のライフスタイル」とか「何ものにも縛られない生き方」とあおっていました。(あくまでも当時の僕の印象です。)その頃はすでに、「ぷうたろう」から足を洗い、「会社勤め」をしていた僕は、そんな世の中の動きを我ながらずいぶんと冷めた目でみていたものです。
だって、僕がそうであったように、働き手を求める企業側の「事情」というニーズと、若い人たちの「都合」というニーズの合致は、それ以前からあったことです。それを誰か頭の良い人が「フリーター」なんてカッコいいネーミングにすることで、若い人たちをその気にさせ、市場を盛り上げ自分たちの狙い通りにビジネスを成功させただけのことですから。
そんな僕も気付けば誰もが認めるおっさん。最近では、寒さが身に染みるのが、季節のせいなのか年齢のせいなのかよくわからなくなってきました。
今の人は知らない方も多いのかもしれませんが、昔のオッサン達は寒い季節になるとズボンの下には「ももひき」なるものをはき、合わせて上にはシャツの中に「ラクダ色のシャツ」を着ていました。若い頃の僕から見ると、これが超ダサい。
ももひきやラクダ色のシャツがダサいのか、おっさんが着るものだからダサく見えるのか、僕にはよくわかりません。ただ、絶対にこれだけは一生涯着ないと心に誓って今まで生きてきました。
先日娘と一緒にユニクロに行ったときのことです。レジの前の一番目立つところに「ももひき」とその「シャツ」がズラッと並んでいたのです。
娘に「これって、ももひきじゃん。」と言うと「何それ?」と伝わっていない様子。その日、僕が「ヒートテックのインナー」という名の「ももひき」を大人買いしたのは言うまでもありません。残念ながらラクダ色はありませんでしたが。
今日も着ていますが、この「ももひき」暖かくて最高です!