せっかく撮影スタジオに勤めているのに、その立場をフルに活用していないスタッフが少なくありません。一般的には大変と思われているスタジオの仕事ですが、その大変さを耐えていれば必要な経験値が自然に身に付いてレベルアップできるというわけではないのです。
遠くない将来、次なるステージに向け高くジャンプするためにも、今はかがんで力をため込む時期です。長い人生からみれば、たかだか数年の特異な環境を味方にして、蓄えられるだけの力を目一杯吸収しておかないともったいないです。
〇 もっと作品撮り
良く言われる通り、写真って撮れば撮るほど上手くなります。撮らない事には始まりません。しかも、作品撮りを通して学ぶカメラマンの目線や立場は、日ごろのアシスタントワークにも還元されるので一石二鳥なのです。
〇 もっとライトテスト
せっかくスタジオに居て、プロが使う機材やプロが撮影しているスペースがあるのですから、その立場を今使わずにいつ使うのでしょう。写真のレベル的にはまだまだ発展途上の身でありながら「自分は自然光が好きなので、スタジオで撮る気はないです。」と言い張る人がいます。そのような人に限って、光の捉え方の下手くそな写真ばかり撮っているのは、決して偶然ではないと思います。
〇 もっと人に評価を問う
レンタルスタジオなら、日々第一線で活躍中の方々が大勢いらっしゃいます。そういった方々だからこそ、鋭い視点や自分の知らない価値観・深い考え方をお持ちのはずです。だったら、自分の作品をどんどん見て頂いて、自分の今現在の位置や方向性の正しさを知るべきです。
〇 もっと好奇心
スタジオには様々な情報が飛び交っています。興味さえ持てば、世の中の流れも、業界の動向も、気になる新しい動きもつかむことができます。
〇 もっとコミュニケーション
人付き合いは、同僚との横のつながりだけというのではもったいなさ過ぎます。アシスタント同士で傷をなめ合うのはほどほどにして、すでに一線で活躍されている方々の考え方を学ぶためにも、自らプロフェッショナルな方々に切り込んでいくべきです。
『勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし』という言葉があります。江戸時代の剣豪が書いた剣術書の一節だそうです。勝てた時にはたまたま運が良かっただけなのかもしれないから浮かれてはいけない。負けた時の原因は、必ず自分の内にあるので、それを見極め、それを乗り越えなければならないという意味です。
とはいっても、実際、世の中の多くの失敗は、「想定外のこと」を敗因として語られがちです。勝つ人にしてみれば、そんな「想定外」とっくの昔から織り込み済みのことなんですけどね。
この業界には、運に恵まれフォトグラファーになる方はいますが、これといった理由も無く成れなかったという方はいません。また、運にせよ実力にせよ、一度つかんだ成功を発展・継続させていくなら、できるだけ多くの引き出しを持っていた方がいいに決まっています。
スタジオが使えるうちに、とことんスタジオを使い倒しておく。今、これを読んでいるスタジオにお勤めのあなた! まだまだ、そんなもんじゃ足りないと違いますか?