個性ある人を優先して採用しているせいか、僕のいるスタジオには「本末転倒あまのじゃく野郎」が大手を振って歩いています。他の誰でもなく、自分の意思でスタジオに勤めているはずなのですが、「自分は自然光が好きだから、スタジオのライティングには興味が無い。」と言い張っています。スタジオという環境に居ながら、ライティングに興味を持たない自分を肯定し続けているのです。
本人がそう言うので、ウソではないのでしょうが、それなら、スタジオの面接のときに「自分には技術が無いから、スタジオでライティングを学びたい」って言っていたあれは何だったんでしょう? 僕はこの「本末あまの野郎(HAY)」の行く末を本気で心配しています。いずれスタジオを出て、環境が変わってもHAYは「自分に必要なものは、今のここではないどこかにある」と言っていることが容易に想像できてしまいますから。
そこで、そんなHAYの目を覚まさせるためにも、先日、スタジオの空いている時間を利用して「チーム対抗ライティング競争」なるものを開催しました。お題のイメージ画像を見て、限られた時間内に何もないホリ(白床)にライトを組み、どこまでイメージに近づけられるか、そのクオリティーをスタッフ3名づつのチームで競い合ったのです。
そのお題はこちら。
バックの白から黒へのグラデーションは、白床から立ち上がる白壁にライトをどう仕込むかが一つのポイントになります。また、地球(儀)に当たる太陽を決めた後、このテスト最大の問題をクリアしなければなりません。それは、バックと地球(儀)の・・・・・・
【現在、このテストを再チャレンジ中のスタッフがいるため、これ以上の解説(ヒント)は控えさせて頂きます。】
今回の企画は、珍しくスタジオの空き時間を調整できたのと、ゲーム形式でクオリティーを競い合うほうが楽しめると思って考えたものです。スタッフのみんなも目をキラキラさせながらやっていました。そりゃ、給料もらってライティングゲームができるんだから楽しいはずです。
ゲームが終わった後、スタッフのSくんが僕に「すごい楽しかったです。これ、定期的にやりましょうよ。」と言ってきました。いやいやいや、自分の仕事が終わった後、申請を出せばいくらでもライトテストでスタジオが使えるのですから、自分らの意思で好きなだけやってください。楽しいことやってお金までもらえるのはフォトグラファーになってからの話ですから。
ピアノやギターが弾けなくてもミュージシャンにはなれます。でも、音感のないミュージシャンは、自称ミュージシャンでしかありません。
読書家でなくても小説家にはなれます。でも、語感に鈍感な小説家がこの世に存在するとは思えません。
料理の世界で修行をしなくても料理人にはなれます。でも、味覚の鈍い料理人がグルメな客を喜ばすことなど不可能です。
スタジオに勤めなくても、アシスタントをやらなくても、フォトグラファー(写真家・カメラマン)にはなれます。
それでも、写真だけは特別で、光を感じたり、見極める能力なんか無くても写真家でやっていけるって思いますか? 誰も言ってくれないみたいだから言っちゃいますが、あなたの写真まだまだです。