2018年のWカップで僕が何よりも驚いたことがあります。
それは、決勝トーナメントでイングランドがコロンビアとベスト8を掛けて対戦した日、MFファビアン・デルフという選手だけはイギリスに一時帰国していたのです。自分の3人目の子供の出産に立ち会うために。
しかもそれは、その選手のワガママではなく、イングランドのサッカー協会や監督、選手たちが後押ししてくれたものだということ。監督はこの件を記者から聞かれ「人生にはサッカーより大事なことがある。私の父の世代とは異なる意見だろうけど。」と答えていました。
僕自身、二人の子供の出産の時はスタジオを休んで立ち会いました。でも、僕は当時も今も日本を背負っているわけではありませんし、僕の一挙手一投足が国民に注目されているわけでもありませんでしたから。
この人生の優先順位に対する考え方が、やがては日本にも浸透してくるものなのか僕にはわかりません。世界的に見れば日本より遥かに熱狂的な国だとか、勝敗をギャンブルの対象としている国でそんなことをしたら、選手やその家族の生命に関わる問題になりかねませんし。
現実問題として、これが今の日本だったらどうなるのでしょう? この時のイングランド×コロンビア戦はPK戦の末、何とかイングランドが勝ったから良かったものの、負けていたら出産に立ち会っていた選手はネット上でかなり叩かれそうです。奥さんまでもが悪者扱いされかねません。
熱狂的なサポーターも、にわかサッカーファンも、国中の人たちみんながそれを常識として捉え、温かい目で見守れるようになれば、この国が抱える少子化の問題も少しは改善の兆しが見えてくるのかもしれません。
今年の流行語大賞の有力候補「大迫、半端ないって」風に言うと、
イングランド、半端ないってもぅ!
アイツら半端ないって!
選手を出産立ち合いで帰国させるもん!
あんなんできひんやん普通!!
そんなん出来る?
言っといてや…できるんやったら…
監督や…サッカー協会や…
後押しするし…
それでもコロンビアに勝つし…
またまたまたまたベスト4やし…
サッカーは深い精神性や哲学が求められるスポーツだと聞きます。いっその事、次の代表監督は、イングランドから呼んできたらどうでしょう?
Wカップの最中に、国に帰っちゃうかもしれませんけど。