あるカメラマン(フォトグラファー:略してP)と話していたら、こんなことを言っていました。
P:「最近のスタジオマンってさ、別にカメラマンになるつもりないんでしょ。」
僕:「え?」
P:「この間、○○○に行ったら、スタジオ入ってくれた子が言ってたんだよね。別にカメラマンとかになろうとは思わないって。そろそろ次の仕事探さないといけないとか。」
僕:「えー!じゃー何のためにやっているんですか?スタジオ。」
P「でしょー。別にいいけどさ、オレの撮影には入って欲しくないよなー。でも、今どき、そんなもんらしいよ。」
確かに、最近は写真系の大学生や専門学校生にお聞きしても、卒業後は撮影に関わる仕事ではなく一般的な仕事を考えている方が少なくないと聞きます。でも、それはあくまで学生さんのお話です。まさか白ホリの撮影スタジオに勤務するアシスタントまでもがそうなってきていたというのには驚きました。
もっとも、経営者の立場から考えればわからないでもありません。スタジオを維持・運営させるにあたっては、何よりスタッフの確保が重要です。効率よく人を集めるには、求人の条件のすそ野を広げるかのが一番手っ取り早い方法ですから。
「将来、真剣にフォトグラファーを目指す人」って募集するより、「誰でもできる簡単なお仕事です。専任のコーチがやさしくていねいに教えてくれます。働きたいときに働けるので、気軽にご応募ください。」ってうたうほうが人は集めやすいはずです。
ただし、チーム全体の雰囲気には細心の注意が必要です。
人間の集団心理に「2-6-2の法則」というものがあります。企業でも学校でも、スポーツチームでも、人が集団になると決まって「意識が高く優秀な2割」と「意識が低く怠ける2割」と「そのどちらでもない6割」に分かれるものなのだそうです。
この法則の興味深いところは、仮に「意識が低く怠ける2割」がチームの足を引っ張っていると考え、その2割を除外してみても、残ったチームのメンバーの中で「2-6-2の法則」が働き、新たな「怠ける2割」が出てきてしまうというところです。
これにプラスして僕が経験から学んだのは、「どちらでもない6割」は日和見的な傾向が強いので、その時の雰囲気でどちらか側に寄りやすいのです。「優秀2割」側に魅力を感じれば「6割」はそちら側に寄りチーム全体がハイポテンシャルな組織になっていきます。逆に「怠ける2割」に魅力を感じれば、チームのポテンシャルとしては残念な組織になってしまいます。
チームの底辺を「フォトグラファーを目指してはいるものの、その努力はおろそか」な2割が担うか、「フォトグラファーになるつもりはない」2割が担うか、組織マネージメントを考えればすごく重要な問題なのです。
時代が変わっても、僕のいるスタジオだけは絶対そうはなりませんけど。もっとも、学生さんからすると、それが“厳しいスタジオ”と言われるゆえんだそうですが。
全員で目指しているから、楽しいのにね。