「今、どこも人いないよね~」
ここ2,3年、業界内の方と話をする時の挨拶言葉です。
同業他社のスタジオさんも、カメラマンのアシスタントさんも、どこも人手不足だそうです。
聞けば、撮影業界だけでなく、アシスタント的職業の多くが今、その成り手がいなくて大変と聞きます。
アシスタントを求める人たちからは「もうさ~、我慢して仕事覚えるって時代じゃないんだよなー」と嘆き諦め口調の声が聞こえてきます。
確かに、小中学生の将来なりたい職業に「映像制作者」はありませんが「ユーチューバー」がランキングされる時代です。職業も手っ取り早く稼げそうな仕事に人気が出るのは当然と言えば当然です。
でも、四半世紀マネージャーをやってきた僕にはこの状況、既視感があります。
今、世の中は景気が良いので、企業は積極的に人を求めています。すでに有効求人倍率という指標は90年頃のバブル期を超えたそうです。
僕の既視感はそのバブルではなくてリーマンショック前夜。2006~7年頃のことです。あの頃、世の中はバブル崩壊から立ち直りつつある雰囲気の中で、それまでの凍てついていた就職氷河期の氷も解け始めていました。
そして、世の中で求人倍率に回復の兆しが出ていると言われ出した頃、この業界では人手不足が囁かれるようになりました。
それは、なぜか?
氷河期の時は「一般企業に就職するのは厳しそうだし、そのためにあくせくするくらいなら、そんなレースからは自ら降りて、好きなことを仕事にしたほうがマシ」と考え、この業界に飛び込んできた人たちが大勢いたのではないかと推察します。
そんな人たちも求人倍率が上がってくると、「自分のことを求めてくれるなら、一般企業に勤めるのも悪くないかな~。」と考えるようになった。
そんなC調・根無し草的な方々が、この業界に飛び込んできて、残っていけるのか? 自分の道を確立し、この世界でしっかりと自分の居場所を確保できるようになるのか?
もちろん可能性は“0”ではありません。何かのきっかけや、人との出会いがその人の追い風となるかもしれません。でも、元々風当たりが強まれば、違う方へ流れていってしまいがちな人たちです。よほどの運を味方に付けないと厳しいと言わざるを得ません。
結局のところ、世の中が売り手市場の時に、それでもこの業界に飛び込んでくる人こそが本物です。世の中の求人倍率が低迷している時期に、多くの人がこの業界に入ってきても、最後まで残る人たちと同じ本物なのです。
この業界は、この人たちこそ大切にしなければなりません。と、同時に考えるべきは、C調・根無し草的な人たちに頼らないと業務が滞ってしまう仕組みそれ自体です。
僕のいるスタジオでは、来週から入社ラッシュが始まります。みんなそれぞれの成長とブレークスルー、自分と仕事の確立を応援します。がんばれ!